サステナビリティ時代の八百万(やおよろず)〜Diversity in the Era of Sustainability〜

こんにちは、サステナブル・ラボCEOの平瀬です。

あなたは、天気予報で降水確率50%の日、傘を持って出かけますか?

私は持っていきません。たとえそれが60%でも…(70%を超えるとさすがに傘に手を伸ばします)。そんな私ですが、先日降水確率40%の日に雨に打たれてしまい、さすがにそろそろ自分の判断基準を見直すべきか…そんなことを考えている今日この頃です。

さて、今回は、「サステナビリティ時代の八百万(やおよろず)」について書いていきたいと思います。八百万(やおよろず)とは聞きなれない言葉だな、という方も読み進めていただくとご理解いただけるかと思いますので、ぜひお付き合いください。

ご存じのとおり、昨今、ESGやSDGsの言葉があらゆるシーンで散見されます。実は多くの場面において抽象的で曖昧だったりするこれらのワードですが、なんとなく良いことを言っているので、なんとなく良いものとして一般的にとらえられている気がします。もちろん私も、なんとなく良いものである、という点については同意です。

かつては、利益をたくさんあげられる企業が良い企業だとされており、投資家からも好まれてきました。これに対し、近年は、これまでとはちょっと違う「良い企業」が評価されようとしています。

さて、これまでとはちょっと違う「良い企業」とは一体、どんな企業でしょうか。ひとつの解として、いくつかの特定の団体や企業が実施する、社会インパクト評価やESG格付けなどがあります。

「良さ」を教えてくれるものとして、それらを否定するつもりは全くありませんし、いつだって私たち人間はシンプルにわかりやすい答えを求めるものだと思います。が、私は少し違った考えも持っています。

「良い企業の定義はひとつなのか?」
これは、私たちのシンプルな問いです。

たとえば「今日の地球」に良い企業と、「100年後の地球」に良い企業は違うかもしれません。

「地球に優しい」企業と、「人に優しい」企業もまた、違うかもしれません。

あるいは私が良いと考える企業と、Aさん、Bさんが良いと考える企業も違うかもしれません。なぜなら私たちは皆、置かれた立場、価値観、信念がそれぞれ異なる、多様性の時代に生きているからです。

それにも関わらず、「これこそが良い企業の定義だ!」と唯一の正解であるかのように押し付けることこそが「良くない」ことであり、サステナビリティが表現する世界観と矛盾するように私には思えるのです。

私たちはこのような考えから、「良い企業」を決める唯一絶対の正解を作り出すのではなく、誰もがそれぞれ自分自身の価値観や判断基準に則り、納得して「良い企業」を選べる世界を目指しています。そしてその実現のために必要なのが、オープンなデータインフラです。これは、教科書ではなくGoogleをつくるイメージに近いと考えています。たとえば「なぜ人は人を好きになるのか?」という問いを持ったとき、心理学や脳科学あるいは生物学などの教科書はそれぞれの「正解」を教えてくれるかもしれませんが、すべてを読み込み理解するのはとても骨が折れると思います(私にはなかなかその気力が湧きません)。対してGoogle先生に聞いてみると、即座にあらゆる解の可能性を示してくれるでしょう。さらに、あなたにフィットするものをレコメンドしてくれたりもしますね。もちろん、そのなかからどの情報に触れ、どこまで深掘りし、どのように解釈するかは、基本的にあなたに委ねられているのです。

「良い企業」の判断において、絶対的な正解はない。だからこそ、一人ひとり異なるそれぞれの価値観や判断基準による答えを導き出すためのデータインフラの存在価値があると私は考えています。

オープンなデータインフラについて、もう少し詳しく書いてみます。私たちは現在、ESG/SDGsデータインフラ「TERRAST β」(金融機関、プロファーム向け)「TERRAST for Enterprise β」(事業会社向け)というプロダクトに落とし込んで、世の中に提供し始めています。これらは、あらゆる企業のあらゆるESG/SDGsデータを多面的に見ることができるデータインフラです。たとえば「CO2排出量」「従業員の女性比率」など、ある項目を切り口としたあらゆる比較(対ベストプラクティス、対同業他社、時系列など)や、将来予想も可能です。加えて、各ユーザーが自分の見たい情報や評価方法をカスタマイズして自作できる機能なども兼ね備えています。このデータインフラ内で様々なデータを提供していますが、最終的にそれらをどう読み解き、判断し行動するのかは、それを見る人に委ねられています。Googleの検索機能のように、あくまでもニュートラルな立ち位置で情報を提供し、人々の判断をサポートすることに徹しています。

当然、同じデータを見ても、「今の地球」に良い企業に投資したいと考える人と、「100年後の地球」に良い企業に投資したいと考える人では、判断と行動が異なりますが、唯一絶対の正解がないESG/SDGs領域においてはこれがひとつのあり方ではないかと思っています。また我々は、これらのデータが可視化されており、人々の判断材料として活用可能な状態で存在していることに価値があると考えています。

話は少し変わりますが、絶対の正解である唯一神が存在し、その対極には悪が位置づけられるのが一神教的な世界観だと思います。ところで、私たち日本人の多くは、八百万の神とともに生きてきました。そこには多様な神がおり、人間味があったり、過ちを犯したりする神もいます。捨てる神がいれば、拾う神もいます。そのすべての神に存在意義や存在価値があるからこそ、八百万なのです。正しさは一つではないということ。こういった世界観こそが、これからのサステナビリティ時代にフィットすると、私は考えます。シンプルな一つの正解である「稼げる企業が偉い」の価値観が、世界中でゆらぎ始めたいまだからこそ、この八百万を世界に発信していきたくて私たちは「TERRAST β」を世界標準のインフラとすべく、日々、汗をかいています。

私たちは、あらゆる判断に、経済的な「強さ」に加え、社会や人への「優しさ」を織り込み、人々がより健やかに生き、経済をより健やかに回していくことを目指し、それに資するオープンなデータインフラの構築を目指しています。つまり、道路やインターネットのような公益インフラをつくろうとしているということです。

公益インフラをつくる。

大企業でもなんでもない、吹けば飛ぶようなスタートアップ企業である私たちに、そんな大それたことができるでしょうか?

革命は、いつだって「馬鹿者、若者、よそ者」がやるのだといいます。しがらみがなく、常識にとらわれないからだそうです。多くの関係者(ステークホルダー)の利害が絡み合う上場企業と違い、私たちスタートアップは、一部の限られた関係者(ステークホルダー)に応援してもらうことができれば、革命を起こすことだってあるのです。その限られたステークホルダーとは、従業員であり、顧客であり、株主であり、そしてこの記事を何気なく読んでいる「あなた」です。

そう、「八百万のサステナビリティ」に共鳴する「あなた」と出会うため、この記事は書かれたのでした。イイネ、シェア、求人応募、その他どんな応援でも心から大歓迎です。

さて、今回は「サステナビリティ時代の八百万」と題して、私たちが公益データインフラをつくっている背景を中心に書いてきました。

私たちサステナブル・ラボは、日本発のESG/SDGsデータサイエンス集団として、サステナビリティ時代の八百万を掲げ、一人ひとりの価値観や信念に基づいた納得のいく判断を実現するための公益データインフラをこれからも構築していきます。

今回もお読みいただきありがとうございました!

前回の記事「資本主義にドロップキック~呪いを解き放て~」はこちら。

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